問題概観
- 第1問 現代社会の諸課題と青年期 28点:マーク数10
- 第2問 源流思想 24点:マーク数9
- 第3問 日本思想 24点:マーク数9
- 第4問 西洋近現代思想 24点:マーク数9
河合塾
全般的には例年通り、基本的な思想の理解力や文章読解力を問う問題構成となっている。
昨年同様、総計資料問題が1問、本文読解問題と資料文読解問題が各大問で1題ずつ出題された。
・難易度:昨年並み
特に大きな変化はみられなかった。毎年、解答に多くの時間を要する統計資料問題(解答番号5)は、昨年の7択問題から4択に変更されたが、必ずしも易しくはない。ただし、全体の難易度は昨年並みである。
・出題分量:変化なし
・出題傾向分析
組合せ問題が12問出題され、うち8択問題が昨年よりも3問増えた。なかでも本文読解問題が第1問(解答番号10)、第2問(解答番号19)で例年の4択から8択問題に変わった。いずれにせよ、倫理の学習においては、基本的用語の暗記のみならず、文章読解力を鍛えるとともに、思想史の流れを理解して概略的に思想を把握できるような学習を心がける必要がある。
(第1問)「公平」をめぐる会話文をもとに、生命倫理、アファーマティブ・アクション、責任をめぐる思想を展開した人物などが問われた。問10(解答番号10)の本文読取り問題の形式に若干の変更があったが、概ね教科書の範囲内の基本知識で対応できる。その中で、問2(解答番号2)の井上哲次郎、問7(解答番号7)のハンス・ヨナス、問9(解答番号9)のコミュニタリアニズムについての学習は手薄になりがちであり、取り組みにくかったかもしれない。
(第2問)「生を律する規範」をテーマとした本文をもとに、孔子の思想、イスラーム教、ギリシア思想、キリスト教思想など、東西の源流思想に関する基本事項が幅広く出題された。ほとんどの問題は、教科書の範囲内の学習で対応できる。問4(解答番号14)は、仏教に関するやや細かい知識が問われており、緻密な学習を行っていないと取り組みにくかったかもしれないが、他の大問に比べ比較的取り組みやすい設問が並んでおり、この第2問で着実に得点を伸ばしておきたい。
(第3問)「よき生を求めるための喜び」をテーマとした本文をもとに、古代から現代までの日本思想が幅広く出題された。昨年に比べ得点源となる著作選択問題がなくなったり、間違いの選択肢に学習が及びにくい人物が取り上げられたりしているが、ほぼ教科書の範囲内の学習で対応できる。ただし、問1(解答番号20)の神話の話や問3(解答番号22)のaの経典の選択は取り組みにくかったり、問5(解答番号24)の資料文が読みにくかったりしたかもしれない。
(第4問)「時間をめぐる西洋近現代思想の流れ」をテーマとした本文をもとに、ルネサンス期の人文主義者、ウェーバー、カント、イギリス経験論、ニーチェなど、西洋近現代思想が問われた。多くの設問は、教科書の範囲内の学習で対応できる。ただし、問4(解答番号32)のカントの認識論に関する設問は難しい。また、問5(解答番号33)のイギリス経験論の各論者については、教科書ではコラム的に扱われることが多く、学習が疎かになる項目であり、取り組みにくかったであろう。
参考:http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/center/16/
城南予備校
・難易度:変化なし
・出題分量:変化なし
・出題傾向分析:
大問数、解答出題分野の構成は昨年までと同じ。出題形式に変化はなかったが、全体的に細かい知識が求められる問題が増えており、難しく感じた受験生も多かっであろう。文章内容を読み取る力や知識もとにして誤った選択肢を消去する力があれば、十分正答を導き出すことは可能であるが、 受験生によっては解答時間がかる問題もあった。
参考:https://www.johnan.jp/sokuhou/pdf/16_rinri_2.pdf
駿台・Benesse
ふみ込んだ細かな知識と、本文の内容把握問題で精緻な読解力が求められた。
・難易度:昨年並み
・出題分量:昨年並み
・出題傾向分析:
大問構成や出題分野などは変更がなかったが、本文の内容把握問題が正誤組合せ問題で2問出題され、より精緻な読解力が求められた。また、思想のより深い理解が問われ、現代思想ではハンス・ヨナスやコミュニタリアニズムなどが出題された。
参考:http://dn.fine.ne.jp/dn/b/002/center/sokuhou/mondai_k/mk_rinri_2.html
東進
形式は例年通り、難易度も昨年並み。細かい知識問題が目立った。
・難易度:昨年並み
・出題分量:変化なし
・出題傾向分析:
大問4、小問37の構成は例年通り。形式も、本文の趣旨読解問題で目新しいものがあったほかは例年通りであった。第1問ではハンス・ヨナスやコミュニタリアニズムについての知識が求められ、また第3問ではスサノヲが犯した罪の内容や護国三部経など、難しい知識問題が出題された。第4問の西洋思想分野は比較的オーソドックスだったが、全体として知識事項で苦しんだ受験生が多かったものと思われる。高得点を狙う受験生には厳しい出題だったと言えよう。資料読解問題では室鳩巣『駿台雑話』やベルクソン『創造的進化』が出題され、読みごたえのあるものだったが、これは冷静に時間をかけて読めば正解が導けるだろう。昨年の倫理は平均点が大きく下がったが、本年も大きく回復することはないものと考えられる。
参考:http://www.toshin.com/center/rinri_shousai.html#overview
代々木ゼミナール
大問構成は例年と同じだが、出題内容に一部新傾向が見られ、また8択式の設問が3題増えるなど、内容・形式ともにやや難化した印象。
・難易度:
最近の社会・国際情勢が意識された新傾向の設問の増加、また長い時間を要すると思われる複雑な形式の設問が今年も見られ、昨年よりやや難化したと思われる。
・問題分量:
各大問の本文の分量は従来通りだが、昨年に引き続き、3~5行といった長い選択肢文が多く見られ、また資料文や図表、本文の読解に基づく設問、さらに形式的にすべての選択肢の正誤判定が必要な設問もあり、全体的に難化する要素が増えたと思われる。
・出題傾向分析:
現代アメリカの社会思想やイスラームのシャリーアなど、これまであまり扱われなかった、より現代の世相が反映された分野からの出題が見られた。また形式的には、本文の趣旨把握問題における8択式設問の増加などが特徴的で、全体として昨年よりやや難化した印象。図表の読み取りは4択式に戻った。
参考:http://sokuho.yozemi.ac.jp/center/bunseki/1264947_2188.html
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センター試験特集 http://www.benkyohoho.com/7204
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